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浦和地方裁判所熊谷支部 平成9年(ワ)328号・平11年(ワ)192号 判決

平成九年(ワ)第三二八号 損害賠償請求事件(甲事件)

平成一一年(ワ)第一九二号 損害賠償請求事件(乙事件)

埼玉県春日部市<以下省略>

甲・乙事件原告

X1(以下「原告X1」という。)

埼玉県春日部市<以下省略>

甲・乙事件原告

X2(以下「原告X2」という。)

埼玉県北葛飾郡<以下省略>

甲・乙事件原告

X3(以下「原告X3」という。)

右三名訴訟代理人弁護士

管野悦子

埼玉県行田市<以下省略>

甲事件被告

株式会社Y1(以下「被告Y1社」という。)

右代表者代表取締役

右訴訟代理人弁護士

平田大器

富田寛之

右訴訟復代理人弁護士

佐々木有人

埼玉県春日部市<以下省略>

乙事件被告

Y2株式会社(以下「被告Y2社」という。)

右代表者代表取締役

右訴訟代理人弁護士

小倉正昭

主文

一  原告らの被告Y1社に対する請求をいずれも棄却する。

二  被告Y2社は、原告X1、原告X2、原告X3に対し、それぞれ三八八万五四五六円、五五二万一一三四円、五五二万一一三四円及び右各金員に対する平成八年一一月一四日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。

三  原告らの被告Y2社に対するその余の請求をいずれも棄却する。

四  訴訟費用は、原告らに生じた費用の四分の三と被告Y1社に生じた費用を原告らの負担とし、原告らに生じたその余の費用と被告Y2社に生じた費用につき、これを一〇分し、その七を原告らの負担とし、その余を被告Y2社の負担とする。

五  この判決は、第二項に限り、仮に執行することができる。

事実及び理由

第一請求

一  被告らは、原告X1に対し、各自一八七〇万円及びこれに対する平成八年一一月一四日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。

二  被告らは、原告X2及び原告X3それぞれに対し、各自一九二一万円及びこれに対する平成八年一一月一四日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。

第二事案の概要

本件は、被告Y2社に雇用され、被告Y1社製造の油圧裁断機を操作していたCがその作業中死亡したことにより、Cの内縁の夫及び子らが、被告Y1社につき右機械に欠陥があったとして製造物責任法三条に基づき、被告Y2社につき、安全配慮義務違反があり(債務不履行)、または安全配慮措置を講じなかった過失がある(不法行為)として、被告両名に対し民法七一九条一項の適用ないし類推適用による損害賠償及び右死亡事故日から民法所定の遅延損害金を請求する事案である。

一  前提事実(認定に使用した証拠を各項の括弧内に掲記した。)

1  被告Y1社は、各種油圧裁断機等の製造及び修理を業とする会社である。被告Y2社は、合成樹脂の成型加工販売等を業とする会社でる。

2  Cは、平成六年一〇月三日ころ被告Y2社に入社し、当時から後記の本件事故時まで同社と直接の雇用関係にあった。Dは、同被告の専務取締役でCが稼働していた工場の責任者の一人である。

(証人D)。

3  本件事故の発生

Cは、平成八年一一月一四日午前九時五分ころ、被告Y2社の工場内において、被告Y1社製造の○○型油圧裁断機(平成七年一〇月製造、製造番号<省略>。以下、「本件裁断機」という。)を使用してプラスチック容器を裁断する作業中に同裁断機のリフト(本件リフト)部分にかがみ込むようにした際、同女の頭部を上方に移動した本件リフト上のコンベアと右裁断機の天井部分との間に挟まれ、頭蓋底骨折による出血性ショックにより、同日午前九時五五分ころ、入院先の春日部秀和病院で死亡した(甲二、一二、証人Dの第二回、弁論の全趣旨。以下、Cが死亡したこの事故を「本件事故」という。)。なお、本件事故当時、本件裁断機には本件リフト内に身体等が入った場合にはセンサーによりリフトを自動的に停止させる装置は設置されていなかった。

4  被告Y2社は、平成七年一〇月ころ、被告Y1社から本件裁断機を買い入れた。Cは、本件裁断機の購入直後から本件事故までそれを操作する作業に従事していた。

(証人D)

5  原告X1は本件事故当時C(本件事故当時五四歳)の内縁の夫であり、原告X2及び原告X3は、Cの子であり、その権利義務を二分の一ずつ相続した(甲四の1、2、九、原告X1本人)。

6  被告Y2社から原告X1に対しCの弔慰金として一〇〇万円支払われ、原告X1は、平成九年一月二〇日、労働者災害補償保険の遺族補償一時金として三〇〇万円の給付を受けた(遺族補償一時金につき甲六の3)。

二  主な争点

1  本件裁断機に製造物責任法所定の欠陥があったか否か(甲事件)

(原告らの主張の要旨)

Cがプラスチック容器の荷崩れを直すため本件リフト上にかがみ込んだところ、本件事故が発生した。本件裁断機は、従前から、荷崩れを起こすなど不調で、裁断作業者がかがみ込んで荷崩れを直すなどしたことが再三あったことなどからして、本件リフト付近に裁断作業者が身体を近付けることが通常予想された。そこで、被告Y1社は、まず、本件裁断機につき荷崩れを起こさない構造にし、荷崩れを直し終わってフットペダルを踏むまでは本件リフトが自動的に上昇することはないように設計すべきであった。そして、本件裁断機の危険性に照らすと、製品以外の身体等が本件リフト内に入ったときにはセンサーによりリフトが自動停止するとか、リフト内に身体等が入らないように囲いを設けるべきであった。次に、本件裁断機の取扱説明書に、荷崩れを直す作業などの場合それに伴う危険と安全対策を記載すべきであり、本件リフトに警告ラベルを付けるなどの安全性を確保すべきだった。しかるに、本件裁断機は、通常有すべき安全性を欠き、設計上及び指示・警告上の欠陥があり、そのため、Cが本件事故により死亡した。

Cは本件裁断機の作業につき未熟練であった。本件リフトが上下する速度は速く、警告ブザーが鳴っても工場内には他の機械の作業音等があることを考えると安全対策としては不十分である。本質的に危険な本件裁断機においては、裁断作業者の急病その他の行動も予測して危険を防止できる構造になっている必要がある。

(被告Y1社の主張の要旨)

本件事故は、本件裁断機の作業に熟練していたCが重大な過失により上昇する本件リフト上に身体を入れたため起こったものである。荷崩れの発生は多くても一〇サイクルに一回くらいであり、それが発生した場合でも、通常製品はコンベアまで運ばれて行くし、そうでなくてもリフトが上昇して停止した後リフト上部の隙間に棒を入れるなどして残存の製品を除去し、その隙間が狭いときには手動切り替えボタンを使ってリフトを下げて行い、リフトが上昇中に製品を除去するには停止ボタンを押して停止させて行うべきなのである。本件リフトは比較的ゆっくりした速度で上下し、警告ブザーが鳴ることによりリフトが作動していることが裁断作業者に分かり、しかも、本件裁断機はプレス裁断を専門とする工場で使用されることが予定されていることなどを考慮すれば、本件リフトの作動中にそこに身体が入ることは通常考えられず、(原告らの主張)のように取扱説明書に安全対策を記載すること、センサーを設置してリフトを自動停止させることやフットペダルを踏むまではリフトが上昇しないように設計することなどまでは要請されていない。したがって、本件裁断機は、通常有すべき安全性を備えており、欠陥はない。

2  本件事故につき、被告Y2社に安全配慮義務違反ないし不法行為上の過失があったか否か(乙事件)。

(原告らの主張の要旨)

被告Y2社は、雇用関係にあったCに対して、信義則上、安全に作業できるような環境を整備する義務を負い、また、危険性のある作業に従事させる場合には安全配慮措置を講ずべき注意義務を負っている。本件裁断機は、三〇〇キログラムもある本件リフトにつき、約六五センチメートルの幅を約六秒で昇降させるなどそれを操作する人にとって危険性の高いものである。

(一) 被告Y2社は、右機械の危険性、操作方法、禁止事項等を常に作業担当者に周知させるなどの安全教育を尽くす義務を有していたのに、それを怠った。Cは本件裁断機の作業につき未熟練であったのである。

(二) 本件裁断機は、当初からリフト上で裁断した容器が荷崩れを起こしやすい現象があり、本件事故当時は静電気による荷崩れも加わっていたので、裁断作業者がリフト上に身体をかがみ込ませて荷崩れを直すような行為が容易に予測できたのである。

(1) 被告Y2社は、本件裁断機の製造者である被告Y1社に本件裁断機の修理、改修等を要請する義務があった(例えば、リフト内に身体等が入った場合にはリフトを自動的に停止させるリフト非常停止装置を設置させる。)のに、それをしなかった。

(2) 被告Y2社は、荷崩れの起きにくい容器の枚数、材質を選択して作業をさせるべき義務があったのに、それをしなかった。

(3) 被告Y2社は、従業員が本件裁断機を停止させて荷崩れを直すことを作業効率が悪いとして嫌い、それを停止させないまま備付けの棒を使用して荷崩れを直すことを従業員に指示していた。

被告Y2社は、右のように安全配慮義務を怠り、しかも安全配慮措置を講じなかった点に過失があり、それにより本件事故が発生したのであるから、債務不履行または不法行為に基づき、原告らに対し本件事故により発生した損害を賠償する責任がある。

(被告Y2社の主張の要旨)

原告の主張は否認する。

そもそも、本件事故が荷崩れを直そうとした際に発生したものか断定できない。

本件裁断機の操作は、複雑ないし高度の技術を要せず、本件リフトは、最下部から最上部まで上昇するのに六秒、下降、搬送そして上昇まで約二〇秒かかるもので、比較的ゆっくりした速度である。

被告Y2社は、従業員に対し本件裁断機の危険性や安全な操作方法につき教育しており、荷崩れの対処方法についても教育しており、荷崩れ防止策も講じている。荷崩れが起きたときは、機械を停止させてから直すこと、すなわち、リフトが最上部で停止した後機械との隙間から棒で除去し、それができないときは手動切り替えボタンを使ってリフトを下げて停止させてから除去するように教育し、荷崩れを直すには本件リフトが作動中に身体等を入れないよう厳重に指導している。また、同被告は、本件事故当時扱っていたプラスチック容器が荷崩れを起こしやすく、当時静電気が起きやすかったことから、一サイクルの裁断枚数を一〇枚から六枚と少なくして作業させていた。なお、プレス裁断作業者は、その担当や作業位置からして荷崩れを直す担当ではなく、それを直すのは主に梱包裁断作業者である。同被告において、リフト内にかがみ込んで身体を入れるような危険な行為をした事例はないのであって、本件事故がリフト上昇中に発生したものであるならば、Cが本件裁断機につき一年以上の熟練者であることも考慮すると、本件事故は通常予測できない行動により発生したものといえ、被告Y2社に安全配慮義務違反はないし、安全配慮措置を講じなかったという過失もない。

したがって、被告Y2社は原告らに対し債務不履行及び不法行為責任を負わない。

第三当裁判所の判断

一  本件裁断機の構造等

証拠(甲一の1、2、一一、一二、乙一ないし六、丙一、証人D(第一、二回)、被告Y1社代表者本人、検証の結果)を総合すると、次の事実が認められる。

1  本件裁断機全体の立面図による構造・寸法等は別紙一「Y2(株)向・全体図」のとおりで、その全体を正面側から見た概略は別紙二「検証見取図」のとおりで、その平面図の概略は別紙三「本件裁断機設置付近平面図」(単位はミリメートル。)のとおりである。

2  本件裁断機はプラスチック容器(成型品)を切り出す裁断機部分と本件リフトを含むコンベア部分とからなり、その作業順序は、一〇回裁断するのを一サイクルと設定して、右平面図で説明すると、次のとおりである(以下、右平面図記載の用語を使用する。)。

(一) 主に作業台の所で裁断機の作業をする人(裁断作業者)がフードパック等の成型品をテーブル部分に置き、フットペダルを押すと、成型品が裁断部分に移動して裁断される。

(二) 裁断後の製品は、裁断部分奥にある吸着盤に吸着されて第一コンベア部分まで運ばれコンベア上に落下する。本件リフト上に第一コンベアが装着され、製品が落下されている間本件リフトはその直下に停止している。

(三) テーブル部分は元の位置に戻り、(一)及び(二)を一〇回繰り返し、製品が一〇枚重ねられると、本件リフトが自動的に下降する。

(四) 本件リフトが最下部まで下降すると、第一コンベアが作動し、製品を第二コンベアに移動させる。

(五) 右移動後、センサーが感知して第一コンベアが停止し、本件リフトが(二)の元の位置まで自動的に上昇し停止した状態となる。

(六) 以上が一サイクルで、裁断作業者がフットペダルを押すことで二サイクル目に入る。

なお、第二コンベアの横辺りにいる従業員(梱包作業者)は移動してきた製品を梱包し、検品台で箱詰めするなどの仕事をし、本件裁断機で本件リフトを作動させて作業するときは裁断作業者と梱包作業者が一組となって行う。

3  本件リフトが上下する範囲の長さは、製品によっても若干異なるが、六五センチメートル程度であり、その範囲を下降あるいは上昇するのにかかる時間は約六秒である。

4  一サイクルの裁断作業が終了すると、三秒ほどその合図のブザーが鳴り、その後本件リフトが下降し、上昇して戻るまで警告ブザーが一七秒ほど鳴り続け、そのブザー音は、他の機械が作動中でも聞こえる。本件事故当時も警告ブザーは正常に作動していた。

5  本件裁断機の非常停止ボタンは検証見取図の⑬、⑪、⑭、⑰にあり、右ボタンを押すと、モーター自体も停止し、その後作業を継続するためには制御盤の所で、電源を入れ、自動から手動に切り換え、手動ボタンを押して本件リフトを上下させるなどした後、前記2(二)の定位置まで戻す必要がある。制御盤には、作業台から見て正面に停止ボタンや自動から手動に切り換えるボタン等があり、裏面に手動にした場合に操作する本件リフトを上下させるボタン、コンベアを回転させるボタン、コンベアの回転速度を調節するボタンがある。

6  本件事故当時、本件リフト付近部分には「作動中中に入らぬこと」などと記載した貼り紙等の警告表示はさせていなかった。これに対し、裁断機部分には、身体等が入ったときは作動を停止させるセンサーが取り付けられ、手を入れるななどと記載された警告表示もされていた。

7  本件事故当時、被告Y2社には他に本件リフト部分等がない裁断機が三台あり、本件裁断機も、本件リフト部分等を作動させずに使用することも可能で、被告Y2社は製品によってはその使用方法をしていたこともあった。

二  製品のいわゆる荷崩れについて

前掲一の各証拠及び前記一認定事実によれば、荷崩れの原因、態様等について次の事実が認められる。

本件裁断機を作動させ、一〇回裁断を一サイクルとした場合、第一コンベアには一箇所に一〇個の製品が自動的に重ね合わされることになる(それが何箇所あるかは裁断する成型品によって異なり、本件事故当時のものは二八箇所であった。)が、製品の形状、重さ、静電気などの原因により、製品が横に崩れ、規定の個数の製品が重ならないことがあった。荷崩れをなるべく防止するためには、重ねる回数、つまり裁断の回数を減らしたり、空気の乾燥を防ぐため加湿器を設置することなどの方法がある。本件事故当時、裁断した成型品の形状(本件事故当時裁断した成型品はその形状等からして一番荷崩れしやすかった。)や静電気も起きやすかったことから荷崩れがあったことから、裁断の回数を通常一〇回のところ六回に設定していた。それでも、証人Dの証言によれば、一〇サイクルに一回くらい荷崩れがあり、手動にして直したのは一時間に二回くらいであったということである。ちなみに、六回裁断を一サイクルとした場合、一回裁断にかかる時間が一五秒くらいとすると、六回では九〇秒で、本件リフトが下降して戻る時間が二〇秒ほどであるから、一サイクルにかかる時間は一分五〇秒となり、一〇サイクルにかかる時間は一九分弱となる。

荷崩れが起きた場合の事後対策としては、製品が第二コンベアまで運ばれていけば梱包作業者がそれを直せば足りるけれども、第一コンベアの端や角などに製品が残った場合(センサーが荷崩れがあって製品の高さが低いと感知しないことがあり、そのためコンベアが停止することがある。)にはそのままにしておくと本件リフトが上昇して元に戻り、その箇所に次に裁断された製品が落下するとそれも崩れて正常に重ならないという支障が生ずる。したがって、第一コンベアに残った製品は何らかの方法で取り除かなくてはならない。その方法として、制御盤にある手動ボタンを使って本件リフトを下降させてから製品を第二コンベアに移動させたり(これが一番安全な方法と思われるが、他の方法に比較するとやや時間がかかる。)、または、本件リフトが最上位で停止したとき、そのときのリフトと天井との隙間(通常一〇センチメートルくらいである。)が狭いときは手動ボタンでリフトを下降させたとき、非常停止ボタンを使用して本件リフトの上昇を停止させたときに製品を除去するなどの方法によることができる。

三  本件事故の態様等

前記認定事実と証拠(甲一二、証人D(第一回)、原告X1本人)及び弁論の全趣旨を総合すると、次の事実が認められる。

Cは、本件事故当日、身体的にも精神的にも健康に問題はなく、通常どおり午前八時から本件裁断機を使う作業のうち梱包作業者の仕事に従事し、午前九時ころパート勤務のEが来社し梱包作業者の仕事をし、Cが裁断作業者の仕事をしていたとき、本件事故は発生した。Cは、本件リフトの正面から見て左側から上半身を第一コンベア上に入れ、それと天井との間に頭部等を挟まれ、それをEが発見し、直ちに非常停止ボタンを押し、他の誰かが手動ボタンで本件リフトを下降させた。

Cがなぜ第一コンベア上に頭部等を入れたかについては直接証拠はないものの、前記二のとおり荷崩れの場合第二コンベアに運ばれずに残る製品があること、甲一二添付の写真20とその指示説明、証人Dが第一回においてその原因につき述べている証言、原告X1本人が労働基準監督署から製品を直そうとして挾まれたのではないかと聞いたと供述していることなどから、次のとおり考えるのが相当である。すなわち、第二コンベアに運ばれずに第一コンベアに残った荷崩れした製品を取り除くか、第二コンベアに運ばれている際つかえた荷崩れした製品を直そうとして、本件リフトを停止させずに、棒なども使用しないで、上半身を第一コンベア上の奥の方まで入れ、自動的に上昇してきた本件リフトから逃げ切れずに、頭部等を挾まれたものと推認できる。

四  争点1(本件裁断機の欠陥の有無)

1  前記認定事実と前掲一の証拠によれば、次の事実が認められる。

(一) 被告Y1社は、昭和二六年に設立以来、主に業務用の裁断機を製作し、年間の売上台数は七〇台以上である。本件裁断機と同様な裁断機とリフトが合体して製品が自動的に搬送される機械を製作したのは平成五年からであり、本件裁断機はその四台目で、その後二台を製作販売している。本件リフトは他社から購入した物で、その持ち上げ能力は三〇〇キログラムで、その上に被告Y1社が製作した約一〇〇キログラムの第一コンベアが載っている。本件警告ブザーは、本件リフトやコンベアが作動していることを告知するため、被告Y1社が取り付けた。

(二) 被告Y1社のA社長は、本件裁断機と同様な裁断機を製作する当初から、製品が荷崩れすることがあることを知っており、納品先からも荷崩れすることがあると聞いたことがあった。被告Y1社は、被告Y2社から荷崩れがひどくて使いづらいという特段のクレームを受けたことはなかった。A社長は、通常は、第二コンベアまで運ばれて直せばよいと考え、荷崩れが激しいときは使用者において製品の形状を考慮して枚数を減らすなどの対策をしてもらい、事後的には手動モードにして対応することなどを考えていた。荷崩れへの対策も使用者の使い勝手があることから、被告Y1社から納品先に対し、荷崩れが起きた場合どのように対処するのがよいかなどを積極的かつ詳細に指示したことはなかった。また、荷崩れを直すべき人は裁断作業者か梱包作業者かについても、納品先の使い勝手の問題としてそれを指示することはなかった。

被告Y1社は、被告Y2社に対し、本件裁断機引渡しなどの際、取扱説明書(乙5)を交付し本件リフトの操作を含めた本件裁断機につき一応説明をしたが、右取扱説明書には荷崩れの対策やその場合の安全対策等の記載はなく、本件リフトの安全性、荷崩れの直し方等につき詳細な説明をすることはしなかった(ただし、裁断枚数を減らす対策については示唆したものと推認される。)。もっとも、被告Y2社は、本件裁断機の購入前、被告Y1社でそれと同様な機械の試運転を何度か見たことがあり、購入後一度くらい同被告と荷崩れの対策を話したことがあった。A社長は、本件裁断機を納品後、被告Y2社から、自ら用意した一メートルほどの棒を使って製品を突いて荷崩れを直すことを聞いていた。

(三) 被告Y1社は、本件事故後労働基準監督署から本件リフト部分にセンサーがあった方がよいなどと言われたことから、本件事故後一〇日くらい(その間も本件裁断機は使われていた。)に本件リフト部分に二箇所センサーを取り付けた。

A社長は、今まで、被告Y1社製作の裁断機で死亡事故が発生したとか、機械に瑕疵があるとの理由で訴訟を提起された報告を受けていない。

2  前記1認定事実等を踏まえ、本件裁断機に「欠陥」があるか否か検討する。

(一) 本件リフトが最下位まで下降した場合天井部分との隙間は六五センチメートルくらいあるから、そこに人がややかがんで身体を入れることは可能である。しかし、本件リフトは約六秒で最上位まで上昇し、現実にそれを目視して確認すれば、それほど急とはいえないがゆっくり上昇するとはいえず、通常の判断力を持った大人であれば、本件リフトの上昇中に上半身等を入れると天井との間に挟み込まれるおそれがあり、生命・身体への危険性を感じるものと推測される。したがって、作業者が、本件リフトが上昇中ないし上昇直前に本件リフト上に上半身を入れることは、一般的には何らかの事情がない限り考えにくい。

荷崩れがない場合は、裁断とその後の製品の搬送はすべて自動的に行われるので、作業者が本件リフト付近に近づいて作業する必要はなく、本件リフトの上下作動による身体等への危険は考えられない。

(二) A社長は、本件裁断機製作当初から荷崩れがあることを予知していたのであるから、荷崩れがあった場合、作業者がそれを直すために本件リフト付近に近付いた場合その上昇等が生命・身体に危険を与えないか否かを検討する。

荷崩れが起きた場合、前記二のとおり、事前ないし事後の対策があり、それを直すには安全性を確保するため手動により第二コンベアまで搬送するか、本件リフトが停止した状態でするのが適正な方法といえる。そして、前記のとおり停止ボタンないし手動ボタンも本件裁断機に設置され、作業者がそれらを操作するのにやや時間がかかるとはいうものの、本件リフトが上昇する際の危険性に照らせば、その手間を厭うことは相当でない。また、本件裁断機は工場で使用されることを予定した産業機械であるから、一般消費者用の製造物と異なり、幼児等が使用することはなく、通常の判断力を持ち、それなりに技能を持ちないし持つことを想定された作業者が操作するのである。作業者は、第一コンベアから第二コンベアに製品が運ばれると、荷崩れが残ったとしても、本件リフトが自動的に上昇することは本件警告ブザーが鳴っていること、雇用主の指導や経験等により認識できる。

そうすると、荷崩れを直すためであっても、本件リフトが上昇する直前に、その上に上半身等をいれることは適正でない使用であって、それを予見するのは容易とはいえない。さらに、荷崩れを直す具体的方法や担当者についてはそれと作業能率との相関関係等を考慮しながら、例えば、裁断枚数を相当なものに減少させたり、それでも足りない場合は本件リフト部分を使用しない方法によるなど、本件裁断機を購入した事業者側で判断して、適正な方法を採るように作業者に指導することが合理的に期待できる。そこで、社会通念上、荷崩れを直す操作に伴う危険の防止は基本的に当該機械を利用する事業者の責任領域にあるといえる。

(三) ところで、原告らは前記のとおり本件裁断機には欠陥があると主張するので、この点につき検討する。

荷崩れを起こさない構造にするべきとの主張については、その原因として乾燥による静電気が考えられることや前記のとおり荷崩れを直す対策もあるので、その構造にしなければ直ちに欠陥があるということはできない。荷崩れを直し終わるまでは本件リフトが上昇しないような設計にするべきとの主張も、前記のとおり本件リフトを停止させたり、手動にして作業する方法があることに照らすと、直ちに欠陥があるとはいえない。

本件リフト付近にセンサーを設置すべきとの主張については、なるほどそれを何箇所か設置すれば本件事故を防止できた可能性があり、センサー設置の費用はそれほど高価でない。しかしながら、製造者は、当該機械の使用者にも危険防止が合理的に期待されることも考慮し、通常予想される危険に対し必要かつ十分な安全装置を設置すれば足りるといえ、あらゆる危険に対する防止装置を設置することまでが法的に要請されるものではない。前認定の事実に照らすと、被告Y1社がセンサーを設置することが法的に要請されるとまではいない。本件リフトに囲いを設けるべきとの主張についても、荷崩れを直す作業にかえって支障となるほか右同様の理由から、採用できない。作業者の急病等も予測して危険を防止できる構造が必要との主張についても、同様な見地から採用できない。

取扱説明書に荷崩れを直す作業に伴う安全対策を記載すべきであったとか、本件リフトに警告ラベルを付けるべきであったとの主張については、被告Y1社は本件裁断機を引渡す前に何回か被告Y2社の本件裁断機同様な機械の試運転を見せていること、本件リフトの上昇中にその上に上半身等を入れることが危険であることはある程度機械の作動を見れば比較的明らかであること、本件裁断機の裁断部分は従前販売の機械と同様なものであることなどに照らし、右主張に係る物まで備えないと、表示ないし警告上の安全性に欠けるとまではいえない。

3  以上によれば、本件裁断機は、通常有すべき安全性を欠いているとまでいうことはできず、製造物責任法所定の「欠陥」があるというには足りず、また、「欠陥」により本件事故が発生したということもできない。

そうすると、原告らの被告Y1社に対する請求は、理由がない。

五  争点2(被告Y2社が安全配慮措置を講じなかった過失の有無等)

1  被告Y2社が本件裁断機の作業者に対し安全配慮措置を講ずべき注意義務を負っていたか否かについて。

前認定のとおり、本件リフトの上昇中にその上に上半身等を入れることが危険であることはある程度機械の作動を見れば比較的明らかではあるけれども、荷崩れの回数がそれなりにあり、作業を急がされるなどの環境にあれば、作業者が迅速に作業を進めることを優先させるため勢い手間を省いて、本件リフトが上昇する前にその上に身体を入れて荷崩れを直すということも予見できるといえる(手などを直ぐ入れて荷崩れ製品を除き、直ぐ戻すことも時間的には不可能とはいえない。)。そこで、被告Y2社としては、作業者に対し、荷崩れ自体をなるべく起こさないような事前対策をし、それが起きたときの具体的対処方法や安全性を優先させるべきことを周知させ、本件リフトの上昇等に伴い生命・身体等に危険が及ぼないように措置を講ずべき注意義務があるということができる。

2  被告Y2社は、前記のとおり、荷崩れの対処方法につき教育し、本件リフトが停止してから棒を使って直し、本件リフトが作動中に身体等を入れないように指導した旨主張し、D専務も第一回において概ねそれに沿う証言をする。

しかしながら、D専務は、第一回の証言においては本件リフト上の荷崩れを直すため長さ一メートルくらいの木の棒を使用し、それを指導したと何度も述べる(調書一一八ないし一二一頁等)けれども、第二回の証言においては、棒は裁断部分(裁断機と天井との隙間は二〇センチメートルくらいである。)に落ちた製品等を除去するためのみに使用し、それをCを含む従業員に周知させた(調書二七、七三頁等)、そして、荷崩れの場合には手動にし、本件リフトを下降させた後第二コンベアに製品を移動させる方法で対処するように指導した(調書七九頁等)と第一回と矛盾することを述べている。右第二回証言は、被告Y2社の主張とも矛盾し、A社長本人の、リフト上の荷崩れを直すため棒を使っていたと聞いていたという供述(調書二九、三三頁等)とも矛盾する。そうすると、D専務の第二回証言は、真実と異なるものであって、被告Y2社の責任を軽減するために供述を変更したとみることもできる。D専務の証言は荷崩れに対する対策やその安全教育等についての基本的部分につき矛盾があって、その点に関する供述は全体的に信用性が低いといわなければならない。そして、D専務は、本件裁断機の操作方法は簡単であることから、その安全教育につき朝礼等で一般的にしたことはなく、初めて操作する人に個別に指導していたこと、Cについても、本件裁断機を操作する当初にその危険性等につき注意しただけでその後は特別の注意はしていないこと、棒を用意した時期については購入後比較的早期であるが明確ではなく、だれが棒を準備したかも分からない旨証言している。

被告Y2社の安全措置義務に関し、原告X1本人は、通夜のときDに棒など用意してあったかと聞くと同人は暫時黙ったままであったこと、本件事故前Cから、荷崩れとか、製品がつかえることがよくあるとたびたび聞かされ、機械の具合が悪いことを被告Y2社に言ったり、機械を止めるとD専務らから怒られると聞き、荷崩れを直すため棒を使ったと聞いたことはなかったなどと供述している。また、同本人は、上申書(甲一四)においても、Cからよく荷崩れが起きると聞いていた旨の供述を記載している。原告X1の右供述については、確実な裏付けはないけれども、前記のとおりD専務の供述は信用性が低いことや本件に現われた全事情に照らすと、その言葉どおり受け取ることはできないとしても相当な部分については信用できる。

そうすると、D専務を含む工場の責任者が作業者に対し、荷崩れがあった場合の棒の使用方法を含めたその具体的対処方法、その際の安全対策につき、荷崩れを直すには、作業者の安全性を重視し、制御盤にある手動ボタンを使って本件リフトを下降させてから製品を第二コンベアに搬送させる方法によること、または、本件リフトが最も上昇したとき、リフトと天井との隙間が狭いときはリフトを下降させたとき及び非常停止ボタンを使用して本件リフトの上昇を停止させたときに、いずれも本件裁断機の近くに用意してある棒を使って製品を除去するべきであるなどの具体的な方法によることを周知・徹底させる教育を余りしていなかったと推認できる。前記二のD専務が証言する荷崩れの回数ももっと多かったのではないかとの疑問があるほか、D専務ら被告Y2社の責任者は、作業効率を重視し、荷崩れを直すのに本件裁断機を停止させることなどには否定的態度を取ったことが窺われる。そのような作業環境のもとでは、作業者が荷崩れを直すため本件リフトの上昇直前にその上に身体を入れることも被告Y2社において予見できたということができる。そして、本件事故当時の荷崩れの回数や時期的に静電気が起こりやすかったことなどに照らすと、加湿器を設置し、それでも減少しないときは裁断枚数をもっと減らすとか、場合により本件リフト部分を使用しない形態で作業するとかを作業者に指導すべきであったといえる。なお、被告Y2社は、荷崩れを直すのは主に梱包作業者であると主張するけれども、D証言によっても、梱包作業者が荷崩れを直すように指導していたわけではなく、裁断作業者との間で協力し合っていたということであり、荷崩れを直すのは基本的には梱包作業者の方が相当だとしても、裁断作業者が荷崩れを直すことも被告Y2社において予見できたというべきである。

3  以上によれば、被告Y2社は、荷崩れについての事前対策を十分せず、その対処方法、安全教育等について、作業者に対し、十分な指導・教育等をしなかった注意義務違反(過失)があり、それが一因となって、本件事故が発生したということができる。Cは本件裁断機を一年くらい操作しており、それなりに本件裁断機に慣れていたことは認められるけれども、前記のとおりの安全対策等の不十分さにかんがみると、被告Y2社の右過失と本件事故の発生との間の因果関係を肯定できる。すると、同被告は、原告らに対し、本件事故により生じた損害を賠償すべき不法行為責任を負う。

六  損害額

1  Cの逸失利益(請求額は二三九三万七九四九円) 二二四七万四二三〇円

甲五及び原告X1本人によれば、Cは本件事故当時被告Y2社に勤めその実収入が年額一五五万〇〇五〇円であり、原告X1と内縁関係にあり、主婦として家事労働に従事していたことが認められる。そこで、逸失利益は、平成一〇年賃金センサス女子労働者の学歴計全年齢平均賃金(年収)三四一万七九〇〇円を基礎とし、生活費控除率を三〇パーセント、就労可能年数を五四歳から六七歳までの一三年間とし、そのライプニッツ係数が九・三九三五であるから、Cの死亡による逸失利益は二二四七万四二三〇円(一円未満切り捨て。以下、金額については同様な扱いとする。)となる。

2  原告X1の損害

(一) 葬儀費用等(請求額は六〇〇万円) 三九五万一五二一円

甲七の1ないし9及び原告X1本人によれば、原告X1は、Cの葬儀に関し仏具代を含めた葬儀費用として、九五万一五二一円支払ったことが認められ(返戻品代を除く。)、墓地使用料として七一万二〇〇〇円、墓石代として二八三万五五九〇円支払ったことが認められるけれども、墓地使用料と墓石代については本件事故と相当因果関係に立つ損害は合計三〇〇万円とするのが相当であるから、葬儀費用との合計は冒頭の金額となる。なお、原告主張の法事費用、戒名料の合計一五〇万円を支払ったことを認める証拠はない。

(二) C死亡による固有の慰謝料(請求額は認容額と同額) 一一〇〇万円

原告X1は、本件事故当時Cの内縁の夫であったので、その死亡により精神的苦痛を受けることは法律上の夫である場合と同様であるから、民法七一一条の類推適用により、被告Y2社に対し、固有の慰謝料を請求しうると解される。右慰謝料の額は、本件に現われた諸般の事情を斟酌すると、一一〇〇万円とするのが相当である。

3  原告X2及び原告X3の固有の慰謝料(請求額は認容額と同額) 各五五〇万円

原告X2及び原告X3は、Cの子であるから、被告Y2社に対し同人の死亡による慰謝料を請求でき、右金額は、本件に現われた諸般の事情を斟酌すると、それぞれ五五〇万円とするのが相当である。

七  過失相殺及び相続

前認定のとおり、本件事故はCが本件リフト上にその上昇直前に上半身を入れなければ生じなかったのであって、右行為と被告Y2社の前記の過失が重畳的に作用して生じたものである。そして、Cは一年間ほども本件裁断機を使用していたのであるから、荷崩れした以外の製品が第二コンベアに移動すれば自動的に本件リフトが上昇することを当然熟知していたと推認され、そうであれば、第一コンベアが作動中に本件リフト上に上半身を入れないようにする注意を果たすべきであったといえる。被告Y2社が安全性を軽視したというような事情があったとしても、右注意は通常の判断力を持った人なら容易にできるものであり、右注意を怠ったCの過失は重大である。

以上に加え、本件裁断機ないしそれと同様な裁断機につき死亡事故等は一切報告されていないことなどその他本件に現われた諸般の事情を斟酌すれば、Cの過失割合は七割と認めるのが相当である。前記六の損害額から七割を控除した残額は、Cにつき六七四万二二六九円、原告X1につき四四八万五四五六円、原告X2及び原告X3につき各一六五万円となる。

原告X2及び原告X3は、Cの右損害賠償債権を二分の一ずつ相続したので、その金額は各三三七万一一三四円となり、同原告らの過失相殺後の損害額合計は各五〇二万一一三四円となる。

八  損害の填補等

被告Y2社は、原告X1が弔慰金一〇〇万円、労働者災害補償保険の遺族補償一時金三〇〇万円を受領し、原告らが香典二〇万円を受領したことが損害の填補等として減額されるべき旨主張する。

原告X1が被告Y2社から受領したCの弔慰金一〇〇万円は、損害の填補の性質を有するので、同原告の損害から控除すべきである。

同原告が、遺族補償一時金として三〇〇万円の給付を受けたことについては、労働基準法八四条二項を類推し、使用者は労災給付がされた場合には、同一の事由については、その価額の限度において、民法上の損害賠償責任を免れると解される。右同一の事由とは、二重の填補を防止する趣旨から労災給付の対象となった損害と民法上の損害賠償の対象となる損害とが同性質のものをいう。労災保険は労働者ないしその遺族の被った財産上の損害の填補を目的とするものであって、精神上の損害の填補まで目的とするものではないこと(最判昭和五八年四月一九日第三小法廷・民集三七巻三号三二一頁等参照)や労働者災害補償保険法所定の保険給付の種類などに照らし、遺族補償一時金の対象となった損害は、死亡による逸失利益にかかる損害と同性質と解される。すると、右遺族補償一時金相当額を原告X1の葬儀費用等及び慰藉料から控除することは許されない。また、労働者災害補償保険法一六条の七第一項によると遺族補償一時金の受給権者は配偶者(内縁関係にある者を含む。)であり、原告X2及び原告X3は右受給権者ではないから、右遺族補償一時金相当額を同原告らの損害賠償債権額から控除することはできない(最判昭和五〇年一〇月二四日第二小法廷・民集二九巻九号一三七八頁参照)。

原告らが香典二〇万円を受領したことを認めるに足りる証拠はなく、仮に受領したとしても、右金額は社会儀礼上相当額なので、原告らの損害から控除されるべきでない。

そうすると、原告X1の前記控除後の損害額は三四八万五四五六円となる。

九  弁護士費用

本件事故と相当因果関係のある弁護士費用相当の損害額は、原告X1につき四〇万円、原告X2及び原告X3につき各五〇万円とみるのが相当である。

一〇  結論

以上によれば、原告らの本訴各請求のうち、被告Y1社に対するものは理由がなく、被告Y2社に対するもののうち認容すべき賠償額(元本)は、原告X1につき三八八万五四五六円、原告X2及び原告X3につき各五五二万一一三四円となる。

(裁判官 島田尚登)

<以下省略>

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